川越城下の化物屋敷と大猫の正体
どんな伝承か
延宝の頃、川越城下の大久保町角に化物屋敷と呼ばれる空き家があった。近習の武士が主君に願い出て拝領し、母と妻を伴って移り住む。宿直で夫が不在の夜、母は縁側に見たこともない大きな釣鐘が置かれているのを見つけたが、平然と撫でて通り過ぎると、帰りには消えていた。別の夜には妻が厩で女の首と出会い、懐剣で壁を刺すと手応えがあって首は失せた。血の跡をたどって隣屋敷境の熊笹の下を掘ると、巨大な猫が血まみれで死んでおり、以後怪異は絶えた。
原典より
今からおよそ二百八十年前、延宝のころ、川越城下に化物屋敷とよばれる空き屋敷があった。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成・昭和40年代刊(中巻・歴史伝説)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成・昭和40年代刊(中巻・歴史伝説))
韮塚一三郎『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』(歴史伝説の巻)を全608話・伝説(土地別の異伝)単位で収録(<解説>・[参考]・和歌・注は本文に内包)。埼玉県下の歴史伝説(塚・城址・古戦場・武将〈新田義貞・畠山重忠・太田道灌ら〉・史跡・寺社縁起等)を、所在地(市町村・字・社寺)と出典(新編武蔵風土記稿・各市町村史等)を付して体系的に集成した中巻。