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娘に化けた信州の狐の仲人

所在地埼玉県熊谷市下奈良
登場長兵衛、狐に憑かれた旅商人
出典埼玉県伝説集成——分類と解説 中

どんな伝承か

かつて旛羅郡下奈良村に長兵衛という旅商人がいた。鴻巣宿の旅籠伊勢屋の娘と夫婦約束を交わしたが、大火で伊勢屋が焼けると、長兵衛は故郷へ戻って娘のことを忘れてしまった。恨んだ娘は長兵衛を取り殺せと稲荷にお百度を踏んだ。ある日長兵衛が家に帰ると門前に娘が待っていたが、ふいに姿を消し、長兵衛は倒れてうわごとを言い出した。憑いたのは信州の狐で、男の心を試すため娘に化けたのだと明かし、心次第では夫婦にしてやると語った。親は長兵衛を信州へやると約束して書付を書き、耳に入れて藁づとを首にかけてやると、長兵衛は門口で倒れ、書付も藁づとも消えていたという。

原典より

家人が助けおこして介抱したが、この時には、さきに耳の中にたたみ入れておいた書付や、首にかけておいた藁ずとは、どこにいったか、もうその影も見えなかったという。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)

『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。

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