「オレを返せ」と告げた礼羽の延命地蔵
どんな伝承か
加須市礼羽の松本冬寿氏が持つ延命地蔵尊は、仏道に入った先祖が托鉢で資金を集めて求め、周辺の幼くして亡くなった子らの霊を供養したものという。参詣者が増えたため、一時金蓮院に預けられた。ある夜この地蔵が盗まれると、盗人の耳に「オレを返せ」という声が聞こえたので、盗人は地蔵を畑に捨てて逃げた。再び盗まれたときは行方が知れなかったが、風もないのに村境の川が波立ち、見ると地蔵が浮かんでいたので元の所へ戻した。大正十五年の冬、冬寿氏の父の夢にお告げがあり、金蓮院から返してもらったという。
原典より
伝えるところによると、この地蔵尊がある夜盗まれた。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。