犬が運んだ古銭入りの土玉
どんな伝承か
川島町伊草の大聖寺の宝物に、土で作った玉がある。唐銅の宝珠形の器に納められ、器の裏には元禄七年に犬が運んできた土玉を奉納したという銘があり、高野山の僧尊海が記した始末書も添えられている。それによると、大名の酒井伊予守忠興は元禄五年に隠居して竹厳居士と名乗り、深く仏を信じていた。可愛がっていた犬が元禄二年十二月十五日に土の玉をくわえて来たので割ってみると、十数枚の古銭が入っていた。犬はその後も毎日一つずつ玉を運び続け、集まった銭で観音像などを鋳造し、残りの土玉を高野山など諸国の霊地に納めたという。
原典より
竹厳は平生犬を愛していたが、その犬が元禄二年十二月十五日土の玉をくわえて来た。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。