尚順男爵の宝貝蒐集
どんな伝承か
著者は今から三十年ほど昔、沖縄を訪れた際に、故尚順男爵の宝貝の蒐集を見せてもらった。首里からすぐ近い別荘の前の海で、手ずから撈い捕られたものばかりというのに、名も付けきれないほど何百という種類があり、形よりも色と斑紋の変化が目ざましく、著者はその驚きを忘れられないと記す。沖縄が世界にまれな宝貝の豊産地であることは、この一つの材料からでも証明できるほどの整理ぶりだったが、その後の男爵一家の遭難とともに、蒐集の行方は詳しく伝わっていないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。