五島帰りの親子三人行方不明
どんな伝承か
保土の島でも二三年前、行方知れずになった者があった。他の者より少し先に五島を出た親子三人の古船が戻って来なかった。船はいかにも弱々しい古船で、仲間たちは虫の知らせか気遣って引き上げを待つよう忠告したが、仕事の都合があるとそのまま出帆し、そのまま永遠にどこかへ行ってしまった。漁師たちは、行方不明になることを死ぬこと以上の不幸と感じているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。