三河北設楽・鬼久左と火を貸せ
どんな伝承か
三河の北設楽郡には、「火を貸せ」と言う道の怪が出る場所がある。昔、鬼久左という力自慢の男が夜道を歩いていると、先を行くおかっぱ頭の女の子が振り返って火を貸せと言った。男は煙管を振り上げて打ち据えようとしたが、かえって自分のほうが気を失ってしまった。あれは淵の神の子だったのだろうと語られている。これとは反対に、夜分に人が通ると提灯のような火が出て送ってくる所もあり、ある村では古い榎の木の下まで来ると火が消えたので、その古木を伐ってしまったら出なくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。