椎葉村・オコゼで猪狩の幸を祈る
どんな伝承か
明治四十一年七月、著者が宮崎県西臼杵郡椎葉村を訪れ、深山の村に伝わる猪狩りの話を村長から聞いたという。椎葉で猪を打ちに行く猟師はオコゼの干物を紙に包んで小さな籠に入れ、山狩りの前に「今日は一頭の猪を捕らせてくれれば此世の光を見せよう」と祈る。願いどおり猪が捕れると、さらに一枚の紙を重ねて包み、代々受け継がれるうちに紙が幾重にも重なるので、持ち主でさえその中のオコゼの姿を見たことがないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。