志士が集った淀橋の料理屋大新亭
どんな伝承か
淀橋の中野側のたもとには、かつて大新亭という料理屋があった。幕末から維新にかけてのころ、国の行く末を憂える志士たちが、たびたびこの店に集まって会合を開いたと伝えられている。著者が訪ねたころには店はすでに跡形もなく、あたりには客を呼び込む商家がにぎやかに軒を並べていた。家光や吉宗をはじめ歴代の将軍が休んだという淀橋の水車小屋も、わずかに昔の名残をとどめるばかりで、江戸名所図会に描かれたような趣は、もうどこにも見当たらなかったという。
原典より
叉、此橋の中野寄りにあつた「大新亭」とゆう料理屋は、維新の頃憂國慨世の志士が屢ば會合を行つた處だとゆうが、…—— 行楽と史蹟の武蔵野(寺島裕・1937年(昭和12年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
行楽と史蹟の武蔵野(寺島裕・1937年(昭和12年))
『行楽と史蹟の武蔵野』は、寺島裕が昭和十二年に著し、新生堂から発行した武蔵野の史跡探訪記である。狭山丘や山口貯水池の周辺から、行田・粕壁・生田・淀橋・中野・柴又・多摩御陵などの社寺、城址、古戦場、塚を歩いて訪ね、交通の便とともに由緒や伝説を記す。小橋一太と新井堯爾の序文、著者の自序を巻頭に置き、前著「史蹟の武蔵野を探ねて」に続く行楽案内として土地ごとの短い節を連ねる。