女に化けて引導を乞うた蔵持の蛇と蛇柳
どんな伝承か
長生郡長南町蔵持の柳谷には、一匹の大きな蛇がすんでいた。ある時この蛇は美しい女に化け、近くの大林寺の隆繁和尚を訪ねて、昔からこの蔵持にいる蛇だが、だんだん土地が開けて安心してすめなくなった、どうか仏の力で人間の仲間に入れてほしいと涙ながらに願った。和尚が正体を見せよというと、美しかった女はたちまち蛇体となり、赤い舌をのぞかせ、ものすごい形相に変わった。和尚はあわれに思って引導を渡してやると、蛇は柳谷に帰り、柳にからみついて死んだ。それが蛇柳という大木で、さながら蛇がとぐろを巻いているように見えるという。
原典より
長生郡長南町蔵持の柳谷には、一匹の大きな蛇がすんでいた。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。