幸運な猟師
どんな伝承か
茂原町の大芝に、一人の幸運な猟師があった。ある朝早く罠を見に行くと猪が掛かっており、曳いて行く途中で灌木に潜む鹿を見つけて鉄砲でしとめた。崖を踏みはずして落ちかかり傍の枝を掴んで踏み止まったが、よく見るとそれは三尺もある大きな山鳥の尾であった。さらに沼に出ると、暁の露が凍って脚を閉じられた鴨が数知れず浮いていたので、一羽ずつ引き抜いて担げるだけ背負った。ところが日が昇ると目覚めた鴨が一斉に羽ばたき、猟師は獲物ごと空へ飛び上がった。幸い鴨が茂原の五重の塔の上に下りたので怪我はなかったが、人々が積んだ綿俵へ飛び降りた時、恐ろしさに目から出た火が乾綿に燃え移り、塔も寺も焼け失せてしまったという。
原典より
茂原町の大芝に、一人の幸運な猟師があつた。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・明治~昭和初期(推定)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・明治~昭和初期(推定))
藤沢衛彦編『日本伝説叢書 上総の巻』を全218話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。