親の遺言に背いた雨蛙
どんな伝承か
雨蛙は親の言うことを少しも聞かず、東と言えば西、黒と言えば白と、何事にも逆らって親を苦しめた。親蛙は臨終に際し、逆を行う我が子ならばと考えて、わが子が死んだなら心から埋めてくれるだろうと遺言して死んだ。ところが雨蛙は親を失った悲しみに堪えず、せめて最期の言葉には背くまいと思い、親の遺骸を川原に埋めてしまった。今、雨が降ろうとする頃に雨蛙が喉を膨らませて啼き立てるのは、母の墳墓が雨で流されはしないかと案じるためだという。
原典より
雨蛙は、ちっとも親のいう事を聴かないで、何事に、反対するのが常であった。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年))
『日本伝説叢書 上総の巻』は、藤沢衛彦が大正六年に編んだ上総国の伝説集である。夷隅・長生・山武・市原・君津の五郡にわたり、地名の由来、社寺の縁起、城と武将の事跡、大蛇や狐つきの怪異、俚謡や民間の風俗を、口碑や『総国誌』などの地誌から集める。巻頭に著者の序と緒言を置き、上総国と郡の名義を説いたのち、郡ごとに町村の所在を添えた見出しで一話ずつ並べる。