聖徳太子が名づけた鹿野山
どんな伝承か
鹿野山は房総山脈の高峰で、君津郡の中央に位置し、標高は千二百尺ほどある。山の峰に立てば茫々たる十三州を一望でき、山頂には数十町の平地が広がる。昔、聖徳太子がこの地に鹿野寺を建てた際、霊瑞によって鹿の名をつけ、古伝によれば天竺の鹿野苑になぞらえて鹿野山と名づけたという。登山する者の多くは麓の湊を経て更級から登るのを常とするが、その道筋の周南村尾車の路傍には鸚鵡石という奇石があり、石に声をかけると明瞭に答えが返ってくると伝えられている。
原典より
鹿野山は、房総山脈中の高峯で、君津郡の中央に位置してゐる。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年))
『日本伝説叢書 上総の巻』は、藤沢衛彦が大正六年に編んだ上総国の伝説集である。夷隅・長生・山武・市原・君津の五郡にわたり、地名の由来、社寺の縁起、城と武将の事跡、大蛇や狐つきの怪異、俚謡や民間の風俗を、口碑や『総国誌』などの地誌から集める。巻頭に著者の序と緒言を置き、上総国と郡の名義を説いたのち、郡ごとに町村の所在を添えた見出しで一話ずつ並べる。