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「鹿野山の猿が見える」で始まる朝

所在地千葉県市川市香取
年代明治末頃
登場榎本忠治
出典市川の伝承民話 第1集

どんな伝承か

語り手は明治の御代も終わり頃の生まれで、祖父の代からこの香取に住む三代目だという。子どもの時分はこのあたりに家の数も少なく、まわりには緑の田が一面に広がって、夕方になると蛙の大合唱が始まった。今のバイパスあたりから海にかけては煉瓦工場が一軒あるだけで、その向こうにご猟場の森が青々と茂り、遠くに富士山がくっきり見えた。座敷に座ったままベカ船や帆掛け船の行き来が手にとるように見えたという。朝寝をしていると父が外から「ほれほれ早く起きろ、今日も鹿野山の猿が見えるぞ」と呼び、大人たちも「今日も鹿野山の猿がよく見えるねえ」と挨拶して一日が始まったと語る。

原典より

そんじゃ今日は、おらンが子供のじぶんの話でもしてやんべえか。—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))

『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。

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