金賣吉次の墓
どんな伝承か
金売吉次は平安末期に栄えた奥州平泉の豪商であった。奥州の砂金を都へ運んだが、その途中で一度も強盗や賊に襲われたことがない。いつも莫大な利を得て帰るので、吉次の名は奥州はもとより天下に轟いていた。吉次は天下の情勢に通じ、その頃の夜盗山賊の様子を探って、勢力に応じて進物を送っていたので、襲う賊もなかったという。奥州藤原氏の栄華も、砂金の富ばかりでなく、この吉次による都への販路があったからだとされる。その吉次の墓が下総にあるのは不思議のようだが、「佐倉風土記」には、金売橘次信高ら兄弟三人が奥羽を往来する途次、萩原村の強盗荒神左近に殺されて貨を奪われ、墓は水に噛まれたが土地の人はなお跡を記す、とある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 下総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・大正~昭和初期(推定))
藤沢衛彦編『日本伝説叢書 下総の巻』を全179話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。