将門に奪われた花嫁・和歌御前の墓
どんな伝承か
平将門が下野の国府を取るにあたって、遠近から従う使者は十二万余騎に及んだと伝えられる。人々は将門の機嫌をとろうと、われもわれもと見目よい女を贈った。そのころ、上野から沼田の家へ嫁ぐ女の輿が通りかかった。土地の地頭がこれを見て使いをやり、二八のうら若い女は、夢か現かと惑ううちに、待つ家ではなく将門の旅宿へ入れられた。はじめは白露と消えなかった身を嘆き悲しんだ女も、いつしか将門の心を愛し、後室に置かれ、和歌をよくしたので和歌の前と呼ばれて寵愛を受けたという。山川村大字粕糧字若御前の地に一基があり、これが和歌御前すなわち沼田庄の女の墓であると言い伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 下総の巻(藤澤衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 下総の巻』は、藤澤衛彦が編著し、大正七年の緒言と大正八年の序を添えた下総国の伝説集である。平将門・佐倉宗吾・真間の手児奈・累などを中心に、千葉県と茨城県西部にまたがる旧下総の城跡・寺社・墓・橋・井戸などにまつわる伝説を、地誌や古記録の引用を交えて収める。緒言で百七十九編を収めると述べ、国名の由来から始めて、話ごとに所在の町村名を付した見出しを立てて並べる。