門前の松に掛かった父の首
どんな伝承か
沼津市井出の大泉寺の門前に、高さ七十尺余りの大きな松があった。この寺の開祖阿野全成は義朝の六男で、幼名を今若丸といい、建仁二年に北条氏の手で下野へ移されて殺された。その子の時元は阿野冠者と称してこの地にいたが、ある日、門前の松に首が掛かっているのを見て取り下ろすと、父の首であったという。厚く葬り、以来この松を首掛松と呼ぶようになった。鎌倉ではねられた首が飛んできて掛かったとも伝えられる。
原典より
井出の大泉寺門前の高さ七十尺餘の大松をいふ。—— 日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。