前方正面から巨大な汽船が迫り
どんな伝承か
沼津の色の黒い船頭が火野葦平に語った体験。夜、前方正面から巨大な汽船がぐんぐん近づいて来たので、「危い」と叫んで舵を切ったところ、衝突する直前にその船影は消えてしまった。あとで気づくと、規則では赤を左、青を右に灯すはずの舷灯が、右に赤、左に青と反対に灯っていたことを思い出し、船頭は「幽霊船です」と結論づけたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ)
『私は幽霊を見た――現代怪談実話傑作選』は、東雅夫が編んだ怪談実話のアンソロジーで、メディアファクトリーのMF文庫ダ・ヴィンチの一冊である。平山蘆江・火野葦平・佐藤春夫・徳川夢声・遠藤周作・柴田錬三郎から石原慎太郎・新倉イワオ・稲川淳二まで、作家や文化人が自ら見聞きした幽霊や怪異を書いた文章を集める。目次には二十三篇と編者解説が並び、水木しげる・山田野理夫・桝井寿郎の座談「怪談詮議」や中岡俊哉「イタコの謎を追う」の抄録も含む。