日を射て滅んだ荒阪長者
どんな伝承か
荒阪峠の北の平地に荒阪長者が住んでいたという。日々金を借りに来る者が多く、その煩わしさに堪えかねた長者の子が、日を射ればこれを免れられると考え、ある朝、日に向かって矢を放った。すると、たちまちその家は滅んだと伝わる。峠には荒阪池があり、水が白く濁っているのは、長者が絶えず米を洗ったためだという。また長者が米を磨いだ水は流れて白水の池になり、夜になると涸れ、翌朝にはまた白い水が満ちていた。その水が今も涸れずにいるのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。