牛の鼻を取った小僧と泥に汚れた脚
どんな伝承か
鹿児島市の西郊、江月門というところの農夫が、田を耕すうちに手が疲れて動かなくなっていた。そこへ一人の小僧がどこからか現れ、牛の鼻を取って軽々と牽き立てると、仕事は常の倍の速さで進み、たちまち耕し終えた。名を尋ねても小僧は笑って答えず、どこへともなく立ち去った。家に帰って日ごろ信心する地蔵尊を拝むと、その脚は泥に汚れていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。