中島川の河童へ柳の枝を届けた郵便屋
どんな伝承か
長崎にようやく郵便配達が始まった頃の話。茂木港に注ぐ若菜川のほとりを、若い郵便屋が通りかかると、川端の柳の下に、着物をびっしょり濡らした女が立っていた。女は柳の枝を差し出し、この手紙を中島川のカッパに届けてくれと頼む。切手はないが、届けてくれたら幸せを贈り、届けねば恨むという。郵便屋が言われた通り中島川まで行き柳の枝を流すと、その後幸せが訪れたかは知れないが、郵便屋はあの女が嫁になればよいのにと会う人ごとに話していたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。