製糖期の夜道で後を追うケンムンの明かり
どんな伝承か
上面縄の話し手が青年だったころ、二月の製糖の時期のこと。アッサネ兄と徳田清信と三人でラク坂へ遊びに行く途中、明かりが見えた。砂糖づくりから帰る人の明かりだろうと話していると、それは向こうの迫からひゅっと飛び、ラウチコという所を渡っていった。ケンムンではないかと言い合いながら坂を上がって振り返ると、さっき三人が話していた所に明かりが来ている。さらに上っても、下から後を追ってくる。これこそケンムンだと三人は転がるように逃げ、よその砂糖小屋に駆け込んでそこで寝たという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。