分かれては一つに戻るケンモンウマツ
どんな伝承か
奄美大島では、天気が崩れそうな暗い夜に海辺にいると、人の通りそうもない向かいの山の中腹で、青白い光がまたたき始めることがある。速くなったりゆるやかになったりしながら動き、一つの火が見る間に三つ四つに分かれては、また一つに戻る。これをケンモンウマツ(怪物火)という。浜伝いにやって来て、河童が出るという水門尻のあたりで消えることもある。ケンモンは指先に火をともして歩くとも、目が光って火に見えるのだともいい、早朝の白い浜に、細長く先が杵のような形の足跡が残っていることがあるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。