鉄のジュカの蓋でケンモンに勝った男
どんな伝承か
明治のころの奄美大島の話。ある男が隣村から帰る途中、浜の岩陰からケンモンが現れて相撲を挑んできた。負ければ命を取られると思った男は、今日は急用があると言って、七日後の晩に取ることにした。男の顔色がさえないのを妻が不審に思い、わけを知ると物知り、ムヌシリに相談した。ムヌシリは、ケンモンは鉄に触れると力が抜けるから、鉄のやかん、ジュカの蓋を身につけて行けと教えた。そのとおりにして組むと、ケンモンの胸が蓋に触れたらしく、急にぐにゃりと崩れ、キャーキャー言いながら逃げていったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。