姥捨の寺の赤松に住む酒好きの烏天狗
どんな伝承か
信州の姥捨にある寺の庭には大きな赤松が立っていて、戦前、その松に烏天狗が住みつき、本堂に祀る小さな観音様を守っていたという。この烏天狗は何より酒が好きで、毎晩観音様に供えた酒を飲みに来た。供え忘れると、月の明るい夜なのにざっと大雨のような音がしたり、こんばんはと声がして出てみると誰もいなかったりした。慌てて酒屋へ走ることもたびたびで、放っておけば家じゅうが大きな音を立てて揺れた。土間の戸を閉めると障子を破って入ってくるので、いつも開けておいた。飲まれた酒は水に変わっていたという。
原典より
セコのことをガワタロ(川太郎)ともいう。—— 現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。