祭りの娘に付き添う赤ら顔の坊さん
どんな伝承か
大正十四年頃、新潟県新発田市で祭りに出かけようとしていた娘が、赤ら顔の坊さんと出会い一緒に祭りへ向かった。娘が欲しいと思うものは口に出す前から坊さんが次々に買い与えてくれ、食べ物でも着物でも簪でも意のままだった。あまりの不思議さに家人が問いただすと、家財道具が木の葉のように家中を舞い飛んだという。この話が村中の評判になり、娘を悪く言う者が現れると鍬や鎌が飛んできてその者を打ち据えたため、以来娘を非難する者はいなくなった。人々はこの坊さんの正体を天狗ではないかと噂した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。