天狗と交わった口ヶ谷の天ぐ徳兵衛
どんな伝承か
和歌山県東牟婁郡三舞村字ロヶ谷の金子徳兵衛は文政二年生まれ、明治十一年に八十九歳で没した。田植えの帰りに日置川で行方不明となり、数日後、大木の梢で発見されたが、樹上にいた理由を語らなかった。以後、夜ごと山へ登っては衣服を破って戻るなど奇異な振る舞いを見せ、「天ぐ徳兵衛」と呼ばれるようになった。天狗に助けられて以来、天狗と交わり各地を見聞きしたと語り、ロヶ谷の天狗山の頂に石室を構えて起臥したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。