天狗から太鼓の秘法を授かった子
どんな伝承か
明治の頃の話。福井県丹生郡西安居村(現・福井市)で、話者の母はお天狗さんが実在するものと信じ切っていた。母の若い頃、近所の男の子が夕方お天狗さんにばかされ、村中総出で一升ますの底や茶碗をたたき、三里四方を「かやせや」と連呼しながら探し歩いた。ある日、その子は僧侶専用の上便所に音もなく黙って帰っていた。その子が青年になり秋祭りで太鼓をたたくと、青年団の者は交替でも手が疲れて続かないのに、この青年は宵の口から夜明けまで打ち続けても手がだるくならなかった。天狗に連れて行かれたとき、この秘法を伝授されたのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。