重石をつけて捨てた猫の浮上
どんな伝承か
嫁いできた頃、野良猫が居ついて台所を荒らし、寝ていると胸の上に乗ってくるので気味が悪く、弟に頼んで捨ててきてもらった。ところが五、六日で戻ってきてしまう。その話を訪ねてきた父にすると、猫を邪険にしてはいけないと言って昔語りを聞かせてくれた。父たちが子どもの頃、みなでかまい殺してしまった猫に縄をかけ、重石をくくりつけて川下へ投げ捨てたことがある。何日かして大雨で川が増水し、喜んで飛び込んで泳いでいると、目の前にその猫が浮かび上がったというのである。猫は魔物だからひどい目に遭わせるなと戒められた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。