封をした容器から消えたノラの毛
どんな伝承か
練馬区での話。昭和五十一年、飼い猫のノラが死んだ。語り手はノラの毛を少し切り、長靴型のガラスの入れ物に入れて蓋をし、セロテープで封をして枕元に飾っておいた。ところが一週間後、入れ物の中のノラの毛が消えていた。セロテープはそのままで、家族の誰も触っていないという。友だちは、ノラが自分の体を全部取りに来たのだと語った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。