墓所跡の四畳半に浮かぶ青い顔
どんな伝承か
手塚治虫が語った話である。数年前、練馬の自宅の玄関脇にある四畳半でのことだった。編集者を泊める部屋にしていたが、夜中に嫌な感じがする、外から誰かに見られているようだと言われ、誰も泊まらなくなった。そこは昔、墓所だったらしい。ある冬の日、手塚がその部屋で寝て、三時半か四時ごろに何気なく目を覚ますと、カーテンを閉めているのに窓の外が青白く光っている。開けてみると、ガラス越しに青い女の顔のような大きなものがぬっと現れた。怖くなって仕事場へ逃げ、山伏を呼んで祓ってもらったが、その後もその部屋はおかしく、見た者は五人はいるという。
原典より
時は数年前、所は、練馬の自宅。—— お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年))
『お化けについてのマジメな話』は、平野威馬雄が昭和四十九年に著した幽霊とお化けをめぐる随筆である。自ら主宰する「お化けを守る会」に寄せられた体験談や、大阪の毎日放送のラジオ番組で聴取者が電話で語った話を軸に、前世や霊媒・降霊実験など海外の心霊研究、井上円了の妖怪論、古い記録に見える犬神などの憑きものを取りあげる。体験談から死後の世界、お化けを呼ぶ方法、昔のお化けへと進む八章立てで、巻末にあとがきを置く。