ゼンマイ採りの帰りに道を塞がれた美恵子
どんな伝承か
話者の長女の美恵子も狸に化かされた。二十年ほど前、竹谷に住んでいた三十歳の美恵子がゼンマイ採りに出て、夕方に一荷背負って帰る途中、すそ神さまの上を通りかかると、道があるはずなのにどうしても先へ進めない。三度目にはあきらめて荷を下ろして座り込み、しばらくして行ってみると道が分かった。狸に化かされたときは、動き回らずにじっと座っていなければいけないという。美恵子はそれ以来、一人では山へ行かなくなった。
原典より
手平の短歌の先生とこへ行ったとき遅なってしもうてのう、先生に送ってもろうたんやが、あっこらさぶしいとこでのう、ドブのはたにお地蔵さんがあったんえ、そのお地蔵さんの一寸向うにうどんて書いた赤いちょうちんがつっちゃあって、そ…—— 現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。