太田の土壺に飛び込んだ音吉
どんな伝承か
太田の子安地蔵から田中町まで一本道で、紀勢線もまだ通らず家もなかったころの話。田んぼには下肥をたっぷり入れた大きな土壺があった。音吉という人が、ある晩、町へ手伝い仕事に行った帰りに居酒屋で一杯やり、太田の方へ戻ってくると、こんな所に風呂はなかったはずなのに、きれいな風呂がある。着物のまま土壺に飛び込み、気持ちよく湯を浴びているつもりでいたが、体じゅう肥まみれになって、庄兵衛ダヌキにだまされたと気づいたという。
原典より
手平の短歌の先生とこへ行ったとき遅なってしもうてのう、先生に送ってもろうたんやが、あっこらさぶしいとこでのう、ドブのはたにお地蔵さんがあったんえ、そのお地蔵さんの一寸向うにうどんて書いた赤いちょうちんがつっちゃあって、そ…—— 現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。