冬の涸れ川に泳ぐ庄兵衛ダヌキの緋鯉
どんな伝承か
万延元年、桜田門外の変の年に生まれ、昭和十四年に八十歳で亡くなった太田米作じいさんの話。北太田の瓦屋と連れ立って、花山の畑の垣根直しを手伝いに行ったときのこと。今の向陽高校の運動場の北に小さな川があり、冬で水は涸れて行きには空だったのに、夕方の帰りにはきれいな水がいっぱいに流れ、大きな緋鯉がすいすい泳いでいた。二人は恐ろしくなって北太田まで大急ぎで逃げ帰った。冬に水のない用水路を水で満たし、緋鯉に化けて人をだますのが、庄兵衛ダヌキの得意技だったらしいという。
原典より
手平の短歌の先生とこへ行ったとき遅なってしもうてのう、先生に送ってもろうたんやが、あっこらさぶしいとこでのう、ドブのはたにお地蔵さんがあったんえ、そのお地蔵さんの一寸向うにうどんて書いた赤いちょうちんがつっちゃあって、そ…—— 現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。