田の草取りを化かす狸の腹鼓
どんな伝承か
群馬県で関つるさんが語った話。昔、この村では大峯山が崩れ落ちて、興福寺のあたりは大石がごろごろしており、その間に小さな田がいくつもあった。雨のしょぼつく薄暗い日、村のじいさんが田の草取りに出ると、ばあさんの声で父っつぁんと呼ぶ声がし、やがてドンドコと大きな太鼓の音が響いてきた。夏祭りでもないのにと聞いていると、音はドロンコと弱まり、しまいにはシュツシュツと勢いがなくなったので、狸の腹鼓だとわかった。狸は人の知恵にかなわないと知りながら、人をからかうのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。