施所橋に出る三つ目の大入道
どんな伝承か
愛知県南設楽郡の話。長篠の本郷と内金との境にある施所橋の上には、夕方になると狸が化けて出るともっぱら噂された。雨の降る晩、傘を差して先を歩いていた男が、ふいと振り返った顔を見ると三つ目の大入道であったとか、ある男が夜更けに通りかかると、橋の欄干に寄りかかっていた男がそのまま下へ飛び降りていったともいう。しかもこの橋は袂にまで人家があり、狸が出るという場所はほんの五間か七間ほどの所だった。狸が出るのに、必ずしも人家を離れた場所である必要はなかったらしい。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。