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正楽寺森の狸が化けた機関車

所在地愛知県新城市川路(正楽寺)
年代現代
登場早川孝太郎、出典『猪・鹿・狸』の著者
出典現代民話考 ― 偽汽車

どんな伝承か

明治三十幾年、豊川鉄道が初めて長篠へ通じたときのことである。川路の正楽寺森の狸が、線路工事のために巣穴を荒らされた仕返しに、ある晩機関車に化けて走って来て、こちらから行く汽車を驚かせた。初めのときは機関手もうっかりして慌てて汽車を止めたが、次の晩には向こうも同じように警笛を鳴らしたけれども構わず走らせると、その機関車はふっと消え、何やらことりと轢いたと思っただけで何事もなかった。翌朝見ると線路に古狸が一匹轢かれて死んでいた。それを線路工夫が拾って煮て食ったという。川路の停車場から少し長篠寄りの、山をひどく掘り割った所だとされる。それから正楽寺の森へは、ちっとも狸が出なくなった。

原典より

北部陸中海岸は昔から貧しく、無理して漁に出ることが多かったし、明治以来何回もの津波の大被害にも遭っており、海難事故も多いところです。—— 現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))

『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。

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