タヌキの襟巻きの山番を叩く入道
どんな伝承か
二十五、六年ほど前のこと、富士見村の石井にある村有林の山番をしていた人が、タヌキの毛皮の襟巻きを持っていた。石井の人たちが村有林で草刈りをしていてタヌキが飛び出したので、草刈り鎌を投げつけると倒れた。その毛皮を酒一升と取り替えたのである。その後、山番が夜に出歩くと、誰かがやたらに頭をはたく。見ると入道が立っていて、煙草の火があるうちは出ないが、マッチが尽きると頭をぽかぽか叩いてくる。殺されたタヌキが入道になって出たのだろうといわれた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。