曾祖母の顔になっていた妻の写真
どんな伝承か
妻の小さい頃の写真を二人で見ていると、何ページめかに見慣れない女の子が晴着を着て玄関先に立っている写真があった。ずいぶんふけた女の子だと思って誰かと尋ねると、妻は自分だ、中一の頃の写真だと言う。だが前のページまでの妻の顔とは別人であった。その夏、妻の母の実家を訪ねたとき、仏壇の上に飾られた写真の中に、あの顔とそっくりな顔があってはっとした。妻の曾祖母の写真であった。妻は曾祖母にとてもかわいがられ、晴着を着ると嫁のようだと喜ばれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。