剣客の墓碑の横に浮かんだ師の顔
どんな伝承か
北辰一刀流の剣術道場「愛武館道場」を開いた富田鑑七の墓は、後に無縁仏となって忘れられていた。剣道場を開いた縁で墓守りを引き受け、一〇年ほど彼岸と盆の墓参りを続けていた昭和六〇年、先生の供養を行い、そのついでに墓を写真に撮った。すると墓碑の隣に、富田鑑七のひげも鼻の形もはっきりとわかる顔が浮かんで写っており、五年前に撮った写真には何も写っていなかったのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。