蜘蛛の巣だらけと嘲られた郵便柱函
どんな伝承か
明治五年、横浜の居留地には内地郵便のための郵便柱函がいくつも建てられた。ところが英国人の出す絵入り雑誌が、柱函の中は蜘蛛の巣だらけで手紙は一通もなく、集配人が呆然としているという絵を載せたため、横浜の郵便局員は憤慨した。ある外国人は、ひどく暇なことを日本の郵便函にたとえてあざけったという。郵便創業期の逸話として『郵便創業談』に伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。