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木造駅で汽車を黒い山と見た男

所在地青森県つがる市(木造駅)
年代昭和三年
登場千田林次郎、梶浦留蔵、北沢得太郎、体験者、話者、回答者
出典現代民話考 12 写真の怪・文明開化

どんな伝承か

昭和三年七月、青森県の北部に五能線が開通した。当時の農家では汽車を見たことのある者がほとんどおらず、いちばん近い駅までも片道六里半、往復十三里の道のりだったから、老人には開通式の見物も無理だった。車力村の千貫にいた二十四歳の千田林次郎は、友人たちと朝早く起き出して木造駅へ向かった。八時ごろ、煙を吐きながら汽車が入ってくる。その大きさと速さに、林次郎は黒い山が自分めがけて突進してくると思い込み、真っ青になって気を失いかけた。介抱されてようやく家まで送り届けられ、以来この一件は笑い話として語り継がれている。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))

『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。

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