大字埼玉百塚(現在行田市)
どんな伝承か
明治末、愛知県から埼玉村大字埼玉百塚の安楽寺に赴任した若い和尚が、どこからかトマトの種を取り寄せて栽培した。当時の村人は誰もトマトを知らず、口にしようとする者もいなかった。和尚は真っ赤に熟したトマトの頂上に庖丁で切れ込みを入れ、熱湯をそそいで皮をくるくるとむき、うまそうに食べてみせた。それを見た村人は、今度の和尚は「きちげなす」を食べていると珍しがったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考・1990年代初期(平成初期))
松谷みよ子『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』を小話単位で全550話収録。心霊写真など写真の怪と、文明開化期の怪異にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明377話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。