ラムネを舶来の地雷火と恐れた番頭
どんな伝承か
明治の初め、横浜居留地で一番の商館だった英一番館のジャーディン・マセソン商会は、西洋人の日用品を本国から取り寄せていた。ある年、ジンジンビヤと呼ぶ今のラムネのような飲み物が届いた。蔵の前で日本人の番頭らが、見慣れない瓶の形に驚き、酒か薬かと相談しているうちに、うっかり瓶同士をぶつけてしまった。瓶は大きな音とともに破裂し、ガラスが四方に飛び散った。これは舶来の地雷火だ、命あっての物種と、しばらく誰もその瓶に手を触れなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。