夢の葬列と同じ遺骨の受け取り
どんな伝承か
日中戦争の頃の話で、五月十六日のことである。朝起きようと思っていると子供が乳をさぐるので、そのままいつのまにか寝てしまったらしい。夢でガラガラと戸が開き、見ると父ちゃんであった。今頃、朝なのにどうして早く来たのと言うと、湯檜まで来て泊って来たと言う。そのうち父ちゃんが布団の上をどしどし歩くので、子供をふんだらどうすると押しとばした。すると担架がどんどん出てきて、仏壇の前から誰かが担ぎ出し、坊さんや骨を持った人、旗を持った人の行列となって葬式になってしまった。一年以上たった十月二十日に戦死の公報が入り、高崎へ骨を受けに行くと、夢とそっくり同じ行列が出てきたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。