まだ死なねえと告げた祖父の姿
どんな伝承か
私を非常にかわいがってくれた母方の祖父が、信州の白馬の麓に住んでいた。昭和四十年の雪の降り始めた頃、重病で恐らくもたないというので、母や兄弟は喪服を用意して信州へ帰った。私は仕事で行けなかった。すると朝の四時頃、祖父が白い光のような姿で現れ、私の名を呼び「おい、おれまだ死なねえからなあ」と言ってスーッと消えた。母に「行かない」と伝えると怒られたが、祖父はその後十年生き、八十八歳で大往生を遂げた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。