つかめぬ魚の夢と義父の急死
どんな伝承か
昭和五十七年の秋、義母は九月半ばごろから毎晩のように寝覚めの悪い夢に悩まされた。手で掴めそうなほど魚が群れているのに、掴もうとするとさっと消えてしまう。同じ夢が続くので、義母は義父に、車の運転にはくれぐれも気をつけるようにと口うるさく言っていた。ところが義父が倒れたのは交通事故ではなく脳卒中で、病院へ運ばれてわずか四時間ほどで息を引き取った。何か悪いことが起きなければよいがと案じていた義母は、これだったのかと肩を落としたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。