腹に像を宿すお腹ごもり清正公
どんな伝承か
江古田の蓮華寺に古くから安置されている清正公の尊像は、腹の中に小さな同じ姿の像を納めていることから「お腹ごもり清正公」と呼ばれる。関東地方が天災に見舞われるたび、身替り清正公と称して村の辻々で災難調伏の祈願が行われたと語り伝えられている。彫刻の大家である大島駒蔵は、像も厨子も三百年以上前の作だと折紙をつけ、加藤清正の後裔にあたる片岡裘太郎は、これが国内で唯一の像であることを確かめたという。清正公は智仁勇を兼ね備えた戦勝の神とされ、産業の増産や諸事の勝利をもたらす神としても信仰を集めてきた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
城西風土記と昔語り(熊沢宗一・1959年(昭和34年))
『城西風土記と昔語り』は、東京中野の江古田に住んだ熊沢宗一が昭和三十四年に著し、自ら発行した郷土誌である。中野長者と淀橋の伝説、御犬小屋や桃園の旧跡、新井薬師、江古田の獅子舞、内藤新宿や高田馬場の昔語りなど、中野と近在の伝説・旧跡・寺社を、古文書や碑文、琵琶歌も交えて記す。全二十章の後半には著者の百姓時代や終戦直後の食糧事情、台風の被害、日露戦争の軍隊日誌を収め、巻末に著者略歴を付す。