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山吹一枝に託した蓑なきわび

所在地東京都新宿区戸塚町(面影橋)
年代室町時代
登場太田道灌と賤の童女、中村治部小輔重頼、古歌の意を解いた家臣
出典城西風土記と昔語り

どんな伝承か

高田馬場のあった新宿区戸塚町一丁目のあたりは、源頼朝が軍勢を勢揃いさせた地とも、武田信玄が馬を調練した地とも伝えられる。あるとき太田道灌が高田富塚で狩りをしていると、にわかに雨が降り出した。人家もない野でようやく粗末な家を見つけ、雨具を貸してほしいと声をかけると、十三、四ばかりの少女が山吹の花を一枝手折って差し出した。意味が分からず不興のまま立ち去ったが、のちに家臣の中村重頼から、実のひとつだになきという古歌にかけて蓑がないことを託したのだと聞かされ、道灌はいたく感じ入ったという。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

城西風土記と昔語り(熊沢宗一・1959年(昭和34年))

『城西風土記と昔語り』は、東京中野の江古田に住んだ熊沢宗一が昭和三十四年に著し、自ら発行した郷土誌である。中野長者と淀橋の伝説、御犬小屋や桃園の旧跡、新井薬師、江古田の獅子舞、内藤新宿や高田馬場の昔語りなど、中野と近在の伝説・旧跡・寺社を、古文書や碑文、琵琶歌も交えて記す。全二十章の後半には著者の百姓時代や終戦直後の食糧事情、台風の被害、日露戦争の軍隊日誌を収め、巻末に著者略歴を付す。

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