生首が下がる水切の夜泣松
どんな伝承か
坂井郡の水切にあった夜泣松には、生首がぶら下がるとか、化け物が出るとか言われていた。その一方で、子どもが夜泣きをするときには、この松のかけらを取ってきて火をつけて見せると、すぐに泣きやむとも言い伝えられていた。この松はもう枯れてしまって残っていないという。著者は、夜中に赤子が泣くという連想から、子育て幽霊の話が夜泣石などに結びつけられたのだろうと述べ、その例の一つとしてこの松を挙げている。
原典より
坂井郡の水切の夜泣松には生首が下るとか化物が出るとかいつてゐたが、子供の夜泣にその松のかけらをとつて来て、これに火を點じてみせると、子供がすぐ泣きやむと言つてゐたさうだ。—— 福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年))
『福井縣鄕土誌 民間傳承篇』は、福井市立実科高等女学校の郷土誌第二輯として教諭中塩清之助が編み、昭和十四年二月付の学校長金岡正孝の序を巻頭に置く。丹生郡の名、哭女、越前萬歳、仏の舞、幸若舞、猫塚、隠れ里、子育て幽霊、愛発の関、弁慶譚、八百比丘尼、水の神女譚を、古文献や他地方の類例と照らして論じる。生徒が集めた県下の昔話は類話をA・Bなどに分けて並べて解説を付し、校正者大村四朗の跋を添える。